冥王星パーティ

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平山瑞穂(私としては)第7弾。「シュガーな俺」「わすちか」「株式会社ハピネス計画」「ラスマンチャス通信」「プロトコル」「桃の向こう」の順で読んできて、とりあえずキリ。新作「Mother」、短編集「全世界のデボラ」、アンソロジー2編、「魅機ちゃん」+プロトコルのスピンオフ版(新作)があるが、とりあえずはキリ。読んだ順番からすると、今回のが一番良かったように思う。
作品の出版順からするとこれが4作目だと思う(ラスマンチャス通信、わすちか、シュガー、の次。その次はハピネス、プロトコル、桃の向こう。)。実は、この作品が彼の作品の一つの区切りかもしれないと考えられる、というのは、これ以降の作品にはビジネス関係の警句(ウイットというべきか)が一つ入っており、作者の言いたいことと思われることが明確になっている(それがテーマになっているかどうかは別である)。一方、本作含め前の作品にはそのような重要なキーセンテンスが明確にはなっていない(シュガーは別かもしれない。読んだのは@niftyブログ連載であり、毎週2回更新の形だったので、あまり意識して読んでいない可能性がある)。そういう意味でも一つの山というか区切りになる作品になっていると思う。とにかく、一応結びまで感じられる作品。
主人公である衛と祥子と同世代より少し長く生きてきた私としては、両方の感情がわかる気がする*1。衛の側もそう、タフなようで空虚な感じが今なのかもしれないし、10年前だったかもしれない。高校生くらいの時が自分の高校生や大学生時代とだぶるような感じか(いや、逆かもしれないなあ。うーん、微妙な感じ。今もってシュショウになりたいとは言わないけれど近いことはいいそうだしなあ)。祥子については最後がちょうど今の状態とだぶるような感じか。なんだか、自分の持っている性格や感情がうまく分けられたり混ぜられたりして、投影されているような共感できるような部分がある。だから、平山瑞穂の作品は、読むのが好きなんだと思う。
読み終えて、うーん、いろいろと考えて、30分ほど余韻に浸りながらそんなことを考えていた。
未婚者、将来を悩んでいる方、そんな方におすすめかな。
ああ、タイトル、もう少し考えられなかったかなあ。これでもいいんだけれども、なんだか損しているような気がする。やっぱりタイトルって重要なんだ。

*1:自分が中性的な部分もあるかもしれませんが