衝動買い紹介

鉄が地球温暖化を防ぐ

　一応鉄屋さんなので読みました。
　生命に必要不可欠なミネラルとしての鉄の認識で読めばいいと思います。
　非常に興味深い話。純鉄＋炭素を海中に入れると電池を形成して鉄がイオン化して出てくるので、それを２価鉄（Fe2+）の状態ならば植物が吸収できる。マリンブロックや鉄製魚礁にさんごや昆布／海藻がつくという話を１０年くらい前に学会で聴いたが、そういう側面があったか、と納得できる話である。（関西空港の海底には高炉スラグが敷いてあるが、これには鉄が含まれているため、滲出して、藻場になっているとのこと。しかし、溶出試験をしているはずなので、悪いものは出ないと思うが、鉄は溶出したっけ？　まあごく微量と思われるが）
　また、この本の最後にはオーストラリア西部のハマスレー鉱山の話がでており、鉄鋼原料関係を扱っていた私としては興味深い。
　しかし、本書に出てくる新日本製鐵環境部のS氏、鉄鉱マン（原文まま）は何考えとるのか？　とも思った。鉄なら読んでもらえる？　その前にお前のところが30万t鉄を出せよ、たった船２杯分じゃないか。今の高生産のご時世で、CO2出しまくっているのは、高炉を持つ製鉄業もその一つじゃないかと。
　おそらく否定できないはずだ。その上で何ができるのか？　我々技術者としては夢を持って情熱を持ってこの会社で仕事ができるのか？　そんなことを考えたら、複雑な思いである。