「銑」が常用漢字表から消えた日

この日、常用漢字表が公示され、5つの文字が表から消えた。
増えた方はニュースにもなっているのでご存知の方も多いと思うので略す。
消えた文字はそれぞれ日本の古き良き文化と関連がある文字である。

  • 銑:製銑、銑鉄。高炉から製造されるC(カーボン:炭素)飽和の鉄。ずくともいい、たたらからできた鉄にこの文字を当てることも。鉄鋼業と関連。
  • 錘:紡錘形。糸を紡ぐときの糸巻きの形。製糸業と関連。
  • 勺:一合五勺。お酒や醤油などの液体の量を計る単位。日本酒や醤油/味噌などの醸造業と関連。
  • 匁:重さの単位。
  • 脹:膨脹。体がふくれる様を表す。大食い文化と関連有るか?!

常用漢字表には「文化とは関係ない」という文言が載っているが、実態はそんなことはないのだ。上で示した通り、やはり漢字は日本固有の(あるいは大陸渡来で日本で醸成された)文化と関連があるのだ。衰退したから言葉は消えていくが、失った文化を取り戻すことは非常に難しい。たたら製鉄からなぜ純鉄ができるのか(原料の砂鉄に脈石成分があまり含まれないことが要因ではないかというのが大筋の説だが、それだけで説明するのは困難)、法隆寺の釘がなぜ千年も保ったのか、未だ解明されていないことはたくさんある。
一番怖いのはこれらの文字が今はパソコンで出るが、JISの漢字表から消えてしまうことである。そうするとこのブログのなかでこれらの文字が「?」とか表記されてしまうのである。そうしたら終わりである。