朝の時間(2)ー時間研究(2)
IE/Industrial Engineeringで来る人のために説明を試みる第2弾。しばらく続けます。
まずは問題設定から。
朝、起きてご飯を食べた後、
- 食器洗い(2分)
- 歯磨き(3分)
- お茶をわかす(水をコンロに掛ける。2分後に沸騰するので、ティーバックを入れて2分後にお茶ができるのでそれを水筒に入れる)
以上の作業をどういう順序でやるか。単純に時間が短く済む方法を考えてみてください。お茶を沸かすときに、エネルギーロス、ガス、コスト、温度低下については考えないことにします。(現実の工業やサービス業への適用には、これらも考慮して最適解を求める必要があります)
もちろん、この問題設定にはかなり省略している部分があります。作業者がひとりか二人か(今回はひとりのつもり)、どんな場所で行っているか(これは作業研究で説明を加えたいと思っています)、工程の省略や一つ一つの時間短縮は考えてよいのか、中断とかありか、工程を端折っているのではないか、などなど。まあ、簡単な説明なので、とりあえずはこれで設定として進めていきます。(要は「カイジ」のエスポワール船での『限定ジャンケン』のルール設定と一緒です。つまり言葉に無い部分は何でもありになる(可能性がある)ということ。現実でもそういうことはありますよね。)
1)まず何も考えない普通の人なら、
- 食器を洗う
- その場で歯磨き
- コンロでお茶をわかす
合計2分+3分+(2+2)分=9分。
2)私の場合
- 食器洗い
- 食器洗い後、水をコンロにかける。沸かしている間に歯磨き
- 歯磨きの途中でお湯が沸くので、歯磨きを中断してティーバックを入れる
- 歯磨き終了後、1分したらお茶ができるので、それを水筒に入れる
合計2分+3分+1分=6分
3)ちょっと考える人なら(私の理想型:わかっているけどこれができない)、
- 水をコンロにかける
- 沸騰するまでの間に食器あらい
- 食器洗いが終わった後に水がわいているのでティーバックを入れる
- その後、歯磨き
- お茶を水筒に入れる
合計2分+3分=5分
といったところでしょうか。もちろん答えは一つではないのです。
基本的なポイントは
a)放っておけるものは外段取り化(事前段取り化)する:お湯を沸かす時にはずっとそばに居る必要が無い(とりあえず、ひとりの家庭なのでそういうことにしましょう)
b)順序を問わないものは入れ替えもあり:この場合は湯沸かしと食器洗いを入れ替え
c)中断できる場合、中断してうまくいく場合は中断することもあり
d)結局は組合せ
になります。
さらに、改善を試みることを考えてみましょう。
a-2)湯沸かしを水からではなく、お湯から、あるいはガス湯沸かし器は使えませんか?
a-3)食器洗いを機械化すれば、同様に外段取り化できるので、さらに時間短縮になりませんか?(コスト等はどうでしょうか?)
a-4)お茶を沸かすのは前日とかにできませんか?
e)ひとりでやらずに二人でやったらどうなりますか? もっと短くなりませんか?
f)ムダは無いですか? 止められることはありませんか? 例えば、「お茶は買うので沸かすのは止める」ことにしたらどうでしょうか?
g)食器洗い2分は長いですね。時間短縮できませんか?(これはもっと細かく見ないといけませんね。次回に譲ります)
というところでしょうか。改善を考える、そして試みる、このことが重要になってきます。ただし、明らかに意味のないことは誰もやってくれません。説得力のある説明が必要になるでしょう。
さて、簡単なトレーニングをしてもらったので、これをもう少し細かく、現実的に追ってみたいと思います。(続く)