Pressが届いたので

もう公表しても良いと思いますが、HP等には掲載されていません。
とりあえず、同窓会報に卒業生の状況報告として載った文章を、個人会社が特定できる部分を除いて掲載します。
(こちらの文章を京エネ会=京都大エネルギー科学研究科同窓会のHPに掲載する件については許可を出していますので、別途見ることは可能になると思われます。)作成日2008年6月
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社会に出て得た技術

 2000年3月に修士課程を修了し、製鉄会社に就職しました。高エネルギー反応炉でもあり、製鉄所のシンボルとも言われる高炉を操業してみたくて製銑部への配属を希望し、その願いはかなえられました。入社後、1年間、高炉に関する基礎研究を行い、その後製銑部スタッフとして、高炉の吹き卸し・火入れに従事しました。また、高炉へ投入する原料(鉄鉱石)を処理するプロセスであり、粉石灰と粉コークス(凝結材)で粉鉄鉱石を焼き固める、焼結プロセスにて開発業務を行いました。
 しかし、2002年末から体調を崩し、いわゆるうつ状態になり、休職を余儀なくされました。一旦復職したのですが、その年の末に再発し休職。2004年10月に復職後、当時の上司や部長、産業医、カウンセラーらの支えによって徐々に仕事に復帰できました。また、体調への配慮もあり、2005年1月から現在の所属である企画部IEソリューション室にて製鉄所の各プロセス及びプロセス間の物流における課題解決、改善活動を行っています。
 さて、私の所属している部署についている「IE」とは何か、ご存知でしょうか? IEとはIndustrial Engineeringの略で、生産工学、生産管理、経営工学とも言われます。時間研究、動作研究などの技法から問題点を掘り起こし、改善点を見つけていく方法です。 この他、OR(OperationsResearch)技術(例えば、待ち行列理論、シミュレーションなど。京大の場合、情報学研究科にて研究されている)、QC(品質管理)手法、統計学なども使用しながら、所内の課題解決をしています。私の場合、元々製銑部にいたことから、製銑および製銑物流を主に担当しています。鉄の原料である鉄鉱石と還元剤となるコークスの原料である石炭は海外からの輸入です。輸入した原料を船からアンローダーで揚げ、ヤードに卸し、ベッドに積んでブレンディングし、コークス工場、焼結工場、高炉へ送ります。如何に安く、早く荷揚げし、生産に間に合うよう輸送するか、日々データを集めながら、現場の作業者・管理者と話をしながら、改善案を練り必要に応じて投資を現場と一緒になって行うことで改善に結びつけています。
 私自身、病気になって失うものもありましたが、得たものも多々ありました。先に述べたIE技術の中には本来技術者ならば必要な技術手法もありますが、なかなか学ぶ機会もありません。そういう意味では、幸せであると私は思っています。そして今も統計学や物理学など学びながら理論的に考え、現場で考え、時に悩みつつ業務をこなしているという(仕事をすると言う意味では)幸せな(?!)日々を送っています。
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てにをはがまだまだ稚屈デスね。それよりも痛恨なのは文字数制限によりかけなかったことを短縮している部分。
たとえば、「技術者ならば必要な技術手法」として書きたかったのは、いわゆるQC7つ道具(管理図やグラフ、ヒストグラム、特性要因図など)を用いて管理することや動作標準に関わるPDCAのサイクルなどです。また統計手法/たとえばr値がいくらだったら有意差があるのか、検定や誤差に関する項目をふくめてIE技術と言い切ってしまっています。これが失敗。
高炉をやってみたかったのは溶けた鉄を扱いたかったからというのが本音。まあ製鋼でもそれはやるのだけれども。

見学で溶けた鉄はやはり危ないのと、CO管理の問題があって、通常の見学の場合には高炉に立ち入るのは非常に難しくなっています。通常製鉄所の見学ですと、バスに乗って、溶けた黄色い(赤いでは温度が低い。オレンジではまだ低い。オレンジから黄色の間くらいか?)鉄が容器(取鍋=溶銑鍋 か トーピードカー=混銑車)に入るところを見てもらって、製鋼部分は飛ばして、厚板工場の圧延か熱延工場を見学していただくということになると思います。(一般の場合。技術者間営業者間等業務交流としての見学(一般でないという意味)では製鋼や高炉、冷延、鍍金(めっき)の見学をしているところもあります)まあ、通常じゃ見えないところを見たかったのが大きな動機です。またそのころ高炉の改修時期にもあり、興味があったというのもあります。