思考の整理学

思考の整理学 (ちくま文庫)

思考の整理学 (ちくま文庫)

読了。帯の「東大・京大(生協)で2年連続最も売れた本」を見て、買う気を無くした(こういうものはハズレが多いから)。しかし、著者が高校の大先輩であり、昨年本書を在校生と教職員に無償で寄付されたことが判明したため、急遽購入。読んでみたけど、まさに思考の「整理」がなされており、それ以上の価値が私には無かった。
なぜならば、このような思考や整理の仕方は中学・高校・大学時代に(この本に出会うこと無く)自ら培うことができたためである。

  • 質実剛健」と「自由」を求めて選んだ中学から高校への進路
  • 高校での粟屋先生の国語(現代文)の授業、ノートを横にして、メモ欄を左3行分とらせて、雑談などをメモする(させる)と言う方法。そこから派生したメモ書きの仕方
  • 大学の数学(微分積分学、物理化学などの教養理系科目)等で一時挫折したが、同じ学科の藤原ろーら君や藤田君らのおかげで、自らわかりやすい本を探してきて読んで独習するやり方や討論、考え方、勉強の仕方を学んだこと
  • 研究室での同期(長谷川君、中崎君、伏谷君)との研究や院試勉強

多くの先輩や友人のおかげで私はグライダーにならずに飛行機になることができたと思っているし、だから、今もって自らのエンジンで飛び回っている。


 戻って、東大・京大生協でこれが売れていると言うことは、いかにグライダー的な人間が多いと言うことか、大学の危機ではないか、ということが挙げられる。中学高校大学の教育者には一度読んでいただき、そのエッセンスを生徒に提示してあげてほしい。(まあ、ある意味、これが東大で売れるのは当たり前かもしれない。逆に京大で売れるのはおかしい。東大と京大の対比と言う点で言うならば、であるが)

 ただし、すごいのは、この本が1983年に書かれたものであり、27年経ってもその価値は変わらないことである。
 思考の整理と言う点ではTreeによる整理など、QC手法、IEに通じる部分も含まれる。
 また、現代問題となっていると思われる、情報の氾濫およびそれによるオーバーワークやうつへの対処法としての思考法(いわゆる認知療法)がこの本には、直接的ではないがまとめてある。この点での評価があっても良いと思う。例えば朝型、睡眠、ホメルこと、など。