もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

読了。
 IEの仕事を始めたときに、「ザ・ゴール」(エリヤフ・ゴールドラット著)を読み、制約条件の理論(TOC;theory of constraints)について勉強した。ボトルネックとかの用語が出て、在庫に関する理論などが必要最小限かつ最大に有効な方法論がまとめられている。この、「ザ・ゴール」は理論を小説仕立てにして説明されている。一方、このTOCについても解説書が山ほどあるが、これを読んでもあまり良くわからなかった。小説の方がよくわかった。
 本書(もしドラ)は、この「ザ・ゴール」と同じテイストである。ただし、元本であるドラッカーの「マネジメント」のエッセンシャル版に対して忠実に引用をしながら小説がつくられており、「ザ・ゴール」以上にわかりやすく、おもしろく、理解しやすく書かれている。私はドラッカーの「マネジメント」エッセンシャル版は読んだことが無いが、訳本であるがために特殊な訳がやはりなされておるようであり(例:専門家、翻訳)、この本を読んだ上でドラッカーも読んでみようかと思う。
 各章のタイトルもうまく考えてあり、一度通して読んだ上で、改めて再度読んでみることによって、改めて納得できる。特に最後の章「真摯さとは何かを考えた」は、最初にもう一度返って考えてみないとわからないと思う。ドラッカーの「マネジメント」には、マネージャーの必要な素質として真摯さを挙げているが、その真摯さとは、好きか嫌いかと言うことではなく、純粋に真摯であるかということを示している。そう言う点については、会社のマネージャー、管理職の方は改めて読んでいただき、かみしめて、行動して頂きたいと思う。
 本書を読みながら、私がおかれている現状、現在の活動、会社での立場、過去の活動などを思い出しながら、ああ、そういうことだったのね、と実感しながら読むことができた。あらゆることについて、自分がマネジメントされる、あるいは自分がマネジメントすることによって成り立っていることを改めて感じた。
 そして、この本が優れていると感じるのは、

  • 日本人なら誰でも関心を持つ「高校野球
  • 学校という組織のなかでの学生(高校生)によるマネジメントの実践

を題材にしたと言うことである。
 高校野球ではイノベーションが常に行われている。この本で起こっているようなことが、実は近くでも起こっているかもしれない。私の母校でもここ2年ほどで愛知県大会の決勝に出るまでになった(今年は2回戦でサヨナラ負けしてしまったが)。
 本書は、会社の管理職、マネージャーのみならず、あらゆる組織(学校、NPO、団体等々)の人々に一度読むことを勧めたい。