ビッグイシューの挑戦

ビッグイシューの挑戦

ビッグイシューの挑戦

読了。「ビッグイシュー日本版」については、(多分)西原理恵子のHPで表紙書きましたというので知ったのかな。時折新宿都庁へ行く途中とか渋谷で売ってるのを見たことがありました。本誌を読んで、大阪がそもそものスタートだったそうで、そういや、大阪ではみたことないなあ、と。釜ヶ崎は大学前の立て看で「越冬闘争」とかやってるので知ってたのですが、現場は知らない。ある先生の講義で写真で見たかもしれない(池田はやと先生だったか。総合人間学部。「偏見・差別・人権」という教養科目)。
ビッグイシュー」は元々イギリス・ロンドンで1991年に発刊された、ホームレスが手売りするという形式で販売する雑誌。日本版は2003年に発刊された。1冊の売り上げ300円のうち160円が販売者の儲けになるという形。
著者はビッグイシュー日本代表の方。100%失敗すると言われた事業への挑戦から、黎明期、発刊に至るまで。そして現在のホームレスに関する考察(精神的構造や家庭問題等の原因から抱える問題。ネットカフェ難民まで含む)や起業に関すること、世の中のあり方、ボランティアやチャリティーという欧米では当たり前になっている文化に対する日本での変化など、非常に多岐にわたる内容が書かれており、濃密で深く感じさせられる一冊。
本著によると、現在の若者ホームレス(そもそもホームレスの定義が国によって違う。日本の場合はかなり限定されており、ネットカフェ難民はホームレスとは言わないそうだ)の精神的問題(抑うつ状態の者が多い)については、周囲の支え(絆、関係)のレス化、生活基盤の安定のなさ、「ひとりでいたい」という感情などが挙げられている。解決については述べられていないが、一方で治療費がない(無保険、保険料が払えない)、薬物が高い(まあ、三環系や四環系など、昔からの薬は安価だが、SSRISNRIなどの最近の薬は比較して高い)と言う問題もあり、一概に治療すれば問題が解決するという問題ではなさそうである。また、医療費負担の問題のみならず、生活保護に関しても、親親戚兄弟が居るなら彼らに面倒見てもらえというところもあり、そう簡単に出ない(一方、外国人には別の事情で出やすいとかいうこともあるようだが、正確なソースが無いので、これ以上は言及できない)。
とりあえず、私はありがたい状態にある訳で、「何かできることをひとつ」はじめられたらとは思う。